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E.H.カー - ロシア革命
 昔に買ってずっと読めないでいた本が読めるようになるのはうれしい。それでもこの本はあくまで素人向けにまとめた版で、元はもっと長い超大作というからおどろき。正直この本でも歴史に強くなりたい人しか読めないのでは。教科書のレベルを少し超えるくらいロシア革命について勉強しておかないとたぶん無理です。

「The 歴史」という感じの超客観的な乾いた文体が素敵でした。偏りを感じないからこそ説得力が生まれて、かえって書き手の言いたいことにひきよせられていく。というのがよく分かりました。特にレーニンの革命→ネップ→スターリンの革命という風な論理の作り方をしているところが面白かった。

評価:★★★★
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F.L.アレン - オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ

 1920年代のアメリカっていいね。日本のバブル期をもっとエゲツなくパワーアップさせた感じ。望むものは何でも手に入るような超好景気が10年も続いて、その後地獄に突っ込んでいくっていう過程だけでも興奮するけど、繁栄時代の裏でブクブク膨れ上がっていく社会病理っていうのが凄くいい。この本では1910年代末から世界恐慌の間のアメリカ、つまりウィルソンの失望、赤狩り、ハーディングのスキャンダル、禁酒法、ギャングの暗躍、都市部と農村部の格差拡大、勢力を取り戻すKKK、広告戦争、インチキ商売の流行(コカ・コーラも元々万能薬だったんだよ)、朝帰りを繰り返す若者、ジャズ、ラジオ、映画、病的なリンドバーグ礼賛、投機バブルとその大崩壊などなどつまり「永遠の繁栄」とその暗部が臨場感抜群に書かれてます。
 熱狂の「ジャズ・エイジ」は戦争と科学で世の中に失望した「失われた世代」ってのがわかりやすい。フロイトの心理学がこんな風に社会に影響を与えてるとは。面白かった。おれも「失われた10年」世代だから、方向性はまるで違うけど、世間に対してスレたくなる気持ちわかるかも。

評価:★★★★☆

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サイモン・セバーグ モンテフィオーリ - スターリン――赤い皇帝と延臣たち

 これまで上下通して読めた本は「ドグラ・マグラ」だけってだいぶ前の日記に書いてるけど、1年ほど経って、こんなのにも手が出せるようになったんだなあ。上下共に広辞苑くらいあるような本(けど下巻は170ページくらい引用元の羅列。凄まじい仕事ぶりでまじ狂っとる)を計10000円ほど出して買って読みました。まあそんだけ高ければ読まざるを得ない。

 んーやっぱおれ悪趣味やから、スターリン時代のソ連の話読んでるとゾクゾクするわ。特に上巻のエジョフ大暴れのところ。これまでほとんどその内容は知らんかったけど、いい勉強になった。まあこれ読んで直接何に役立つかって何にも使えんとは思うけど。まさか高校の授業で大テロルの話を嬉々とするわけにはいかんし。けど結構思いこみ壊してもらえたからこの本には感謝してる。やっぱり歴史の勉強って、それまで思いこんでたことがガラガラ壊される感じが個人的には一番楽しいから、たとえばスターリンの人間味あるところとか、どういう理屈で自分ところの国民あんなに殺そうと思ったかとか、知れてよかった。社会の圧力ってほんま怖いわ。間違ったことしてるの分かってんのにやり続けてしまうんやな。けどやっぱりおれがスターリンと同じ立場で同じくらい能力あったら似たようなことするんかなあと思った。ナポレオン3世とかメッテルニヒとかもそうやけど、変なレッテル貼られてるやつの人物史はなんだかんだで一通りチェックしたほうがいいわ。次はビスマルクか毛沢東行ってみよう。

評価:★★★★☆

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佐藤賢一 - カペー朝

 フランスカペー朝の概説。作者が小説家なので、文章がこなれてて、よい。自分がどーしても文体から入るほうなので、新書文体のアレルギーあるんだけど、これは読みやすかった。

 新書は、構成がぶつぎりなのと、細かいムダ知識たくさん載ってるイメージで、今年(てかいままで)あんまり読まなかった。そもそも読み物として、成り立ってないものが多いと思う。けど、この本については、まったくそんなことなかった。ちゃんと一貫性も、結論もある。人に読ませる努力が、いろんなところでされてる。何より歴史の、あのゲームじみた魅力みたいのが、感じられたのがうれしかったです。自分と波長が合ったな。

 おれ、社会の教員目指してるんですが、めっぽう本には弱いので、こういう読みやすい歴史書みたいのが、あるとありがたいです。もちろん、これは軽すぎ、並みの新書でも軽い、ほんとはもっと分厚い専門書みたいのを、読まなねばならんとわかってるんだけど……頭がついていかないんだな。まあ、まずは準備体操として、こういうのから読んでいきたいと思います。

 評価:★★★★

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ジョージ・オーウェル - オーウェル評論集

 「1984年」「動物農場」が有名だけど、ジョージ・オーウェルは、小説より評論をたくさん書いてる。この本は、たくさんの原稿の中から、特に有名なやつをまとめたものらしい。本気で読みたかったら、シリーズになってる方の評論集を買うべきか。けど、そんな読む気力もないので、こちらで満足した。

 どの評論も、文章は優しいけど鋭い。この攻撃的でない感じが、頭よさそうでいい。何か批判するときは、いくら表面取り繕っても、文章に性格が出る。だから、いつかこういう文章、書ける人になりたいと思います。無駄のない、単純な、けど生々しいオーウェルの文章は、ほんと素直に入ってくる。

 『象を撃つ』『絞首刑』なんかのエッセーは、有名なだけあって読み心地もよかった。中身も優れてたけど、上に書いたみたく、文体のよさが際立ってる感じだった。

 中身でいちばん印象的なのは、『英国におけるユダヤ人差別』だった。差別について考えるとき、「なぜ世の中に差別があるか」でなく「なぜおれは差別するのか」で考えないといけない。という内容に、ひどく共感しました。おれは、どちらかといえば、被差別者にあたる人間なのに、人一倍、差別する気持ちを持ってると思う。かなり無神経な性格してるから、なおさら。

 誰の中にも、人を差別して喜ぶ気持ちがあるから、それを抑制すべきだっていうのは、ひどくありふれた話だけど、なんでかいまさら、本心から気づいたかも。「なぜおれは差別するのか?!」これを絶対忘れないようにします。

 評価:★★★★

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ジャック・ケッチャム - 黒い夏

 1965年の夏・アメリカ、不良少年が面白半分にふたりの女子大生を撃ち殺した。中年刑事はあの手この手で捜査を進め、少年を追い詰めることに成功するが……。

 胸糞悪い話ではあったけど、そんな印象に残るほどでもなかったな。最後のカタストロフっぷりがわりとふつうだった。やたら暗い話を書く作家さんだと聞いてたからなおさら。

 読書中は、主人公レイの屑ぶりがとにかく際立ってて笑った。反社会的な人間特有のかっこよさはあんまりなく、むしろ親に寄生しつつ麻薬と女遊びに現抜かしてるダメ人間だった。美形だが背は低く、プライドが異常に肥大しているという設定で、あーいるわこういう中学生とか思ったけど、こいつ二十歳過ぎなのか……。ヤンキーの美学とか頭良い悪党のきれっぷりとか陰険少年のローマンチックな妄想天国とかそういうのとは無縁でした。まあこの薄っぺらさがリアルではある。けど期待してた主人公像とはまったく違った。

 で、こうやって勝手に作った期待と本の筋が逸れてくと、なんか話に入り込めなくなることってあるよね。今回がそれだった。たちの悪い読者だなと自分でも思うわ。
 話自体は面白くて、分厚いわりに勢いで読めたんだけどな。青春小説というよりは60年代アメリカの暗黒面を描いた時代小説って感じでした。ヒッピーとかマリファナとかに興味のある人におすすめ。

 評価:★★★

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夢野久作 - ドグラ・マグラ

 うおー! 生まれて初めて上下巻ある本読み切った! ハリー・ポッター(不死鳥のやつ)さえ断念した男だが、すこし成長したか。ていうか、初めて読んだ上下が「ドグラ・マグラ」って、自分で言うのもなんやけど、ちょっとかっこええな、変人ぽくて! そうでもないか。

「日本三大奇書のひとつ」「読んだものは一度は精神に異常を来たす」……ともっぱらの評判だけど、おれは第一に「はったり小説」て思った。もうマジではったりずくし、「徹頭徹尾、極度にグロテスクな、端的にエロチックな、徹底的に探偵小説式な、同時にドコドコまでもノンスンスな……一種の脳髄の地獄……もしくは心理的な迷宮遊びといったようなトリックでもって充実させられております」て感じの内容で、無限ループじみた構成と、万華鏡の如くぎらぎらびかびかした大正浪漫調のクドい!!文体で頭ぐらぐらさせまくって、上下巻700ページ近くを無理やり全部読ませてくる、そういう本でした。確かに頭パーンと破裂しそうな読後感だったけど。奇書っていうか……まあ発狂はしなかった、でもこれ描いた人は間違いなく奇人。よーやるわ……と読み終わってから思った。ものすごい力技やった。

 もちろん力技だけじゃなく、話の中身もだいぶしっかりしてた。あれだけ暴れてちゃんとオチたし。メタフィクションだの精神医学だのが出てきて、書かれた時代のわりに妙にハイカラなところがあったりするのは、それだけ著者に先見性があったってことだろう。特に心理学の論文のあたりは、このころフロイトもユングも知られてなかったのに、よくここまで突っ込んだ話書けたなって尊敬する。前も言った気するけど、この人の話って、文章ではあんだけ滅茶苦茶やってるのに、構成やテーマの部分だけは異常に論理的ですっきりしてて、そこがたまらなく魅力的なんやなあ。

 ただ、この小説、下巻の頭で三ヶ月くらい読むの止めてた。上巻の後半あたりからめっちゃ中だるみします。チャカポコゾーンは抜けられたけど、冗談半分に書いた遺書の、調書のあたりは萎えるわー。古文まで出されたらもうええでって感じで笑ったけど。下巻中盤あたりからは一気に読めました。

 とにかく夢野久作らしさ全開の、グルーヴ感MAXの、イカレたようで全部はったりの妙な小説でした。このはったりに乗れるか、乗れないかで、面白いと思うかどうかがすべて決まると思います。

 評価:★★★★☆

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安斎育郎 - 放射線と放射能(図解雑学)

 放射線・放射能ってとにかく危ない危ない言われるけど具体的にどんなもんかとか知らんかったし、それで原子力発電の危険性がどうのこうの言うのって卑怯な気がしたのと、あと、チェルノブイリ事故とか東海村事故の話聞くと、その規模の大きさと処理の杜撰さがロマンチックで面白いっていう純粋かつ不謹慎な理由で読んだ。おれは文系で歴史専攻、物理とか中学レベルの知識もなかったから、数日前まで「放射能って毒なん?」とか思ってて、でも青酸カリとか砒素と明らかに扱う違うし、ちょっと調べたら電子の動きがどうのこうのとか書いてあって、「じゃあなんでただの原子の動きがずっと同じ場所で影響持ったりすんの? 土地が汚染されるとか嘘なん?」とか考えてわけわからんかった。けどこの本は原子の構造から元素周期表の見方まで細かく説明してくれるからすごいわかりやすかった。同じシリーズの「原子力」ってタイトルのがあるけど、それよりこっちのが親切で構成もよかったと思う(原子力発電とかについては「原子力」のがすこし詳しいか)。以下自分の無知がどう是正されたかを箇条書きすると、

・ 元素ってそれぞれ違う種類の小さい粒みたいのが集まって出来てるから性質違うんやと思ってたけど、陽子の数が違うだけやった
・ 陽子の数変えれば原子の性質も変わるってのを知って驚いた、そんな錬金術みたいなことできるって知らんかった、あと、中性子の数で同じ元素でも性質変わるのを知った
・ 原子爆弾・核爆弾がなんで「原子」「核」の爆弾なんかわかった
・ 水素爆弾を、理科の実験みたいに水素爆発させる爆弾やと思ってたけど、核融合ってのをしてることがわかった
・ 放射能って言ってもアルファ線とかベータ線とか色々あるのがわかったのと、放射線がそもそもなぜ有害なのか知った
・ グレイとシーベルトの違いがわかった 等などなど

 評価:★★★★

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ジョージ・オーウェル - 1984年
ジョージ・オーウェル,新庄 哲夫,George Orwell
(1972-02)

 人の行動・内面のすべてを管理下におこうとする独裁国家オセアニアの話。主人公のウィンストンは真理省(ミニトルー)の役人で党員だが、自国のあり方に疑問を覚え、ささやかな反逆を試みる。

 古典と言えるほど有名なSF小説らしいけどそうとは知らなかった。ただアンサイクロぺディアでよくこれのパロディーを見かけるし(「クライムシンク ミニトルーは記事を極不可思想犯罪と認定 ミニラブは〜」ってやつ、知らない人は検索すると良い)、平沢進も"Big Brother"って曲作るしなんか面白そうと思って買った。期待よりはるかに面白かった。

 世界中が共産主義っぽく独裁されたらどうなるかって話だけど、共産主義が死んだ今でも全く古びてない。超こわい。大なり小なり、管理的な集団ではこういうことがあるからな。

 頭の中から外まで何もかも支配される感じが、簡素で力強い文体から伝わってくる。特に支配方法の書き方がものすごくて、「二重思考(ダブルシンク・矛盾する考えを両方とも心の底から納得すること)」や「新言語(ニュースピーク・言葉の意味を削って、概念そのものをなくしてしまい、党に反逆する思考自体できなくする新しい言語)」の説明は、細部の細部までぎちぎちに詰められてて圧巻。

 で、確かにこの小説は怖いし、救いないけど、正直こんな社会にすこし憧れたりもする。アンチ管理社会の小説ってのはわかってるし、実際にはそんな社会ごめんだけど、でも眺めてる分にはどうしてもしびれる。自分の生活のすべてを監視するテレスクリーンとか、まばたきひとつ・顔のちょっとした痙攣だけで思想犯罪にされるとか、「二分間憎悪」とか「勝利コーヒー」とか「愛情省」とか「戦争は平和である」とか、なんてわかりやすくて、かっこいいんだって思う。なんもかも完全に権力が支配する社会なんて倒錯的に憧れます。後半の拷問の描写なんて最高! テーマよりお話そのものを楽しんでしまった感はあるけど、やっぱり面白かった。

 評価:★★★★★

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筒井康隆 - 旅のラゴス

 ラゴスという男が延々旅を続ける話。これ、高校2年のときに図書館ですこし読んで、あんまり合わなかったからそれきり筒井康隆自体読むのやめてしまった。いま大学2年になってからチャレンジしてみると案外読めた。なんだかんだで読解力が向上しているんだな。それにしても、もったいないことをしたもんだ。

『旅のラゴス』は筒井康隆のなかでは異色の作品で、エログロやドタバタがほぼない。純粋なSF冒険小説。時間の感覚がとても壮大なので、自分も含めいろんなものがちっぽけに見えてきて、胸がすっとする。ほんと人生って、いろんな使い道があるもんだなと思った。いずれにせよ死ぬときはあっけないけど。で、あのラスト。文字通り一生をかけて旅を続ける主人公を見てると、いますぐ自分も旅に出たくなる。旅行好きの大学生にオススメ。

 評価:★★★★☆

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